2013年4月10日水曜日

事業承継と知的財産権

 会社の経営者が、経営権を後継者に譲り渡すことを事業承継といいます。

 事業承継は、オーナー経営者の一族だけでなく、会社および従業員にとって重要な影響を及ぼします。

 このため、早期に後継者を特定して、会社の事業用資産や株式などをスムーズに後継者に譲り渡すことが必要となります。

 この「事業用資産」には、会社が保有する知的財産権も含まれます。つまり「特許権、実用新案権、意匠権、商標権」なども事業承継の対象となります。

 特許や商標を出願する際に、会社名義で出願していた場合には、特許権や商標権は会社名義での登録となります。

 この場合には、権利者は「会社」であるため、事業承継が行われ、会社の経営権が、現経営者から後継者に譲り渡されても、事業承継の前後で特許権や商標権の権利者が変わることはありません。
 したがって、会社名義で知的財産権を取得していた場合には、知的財産権の存在が事業承継時に与える影響はほぼ皆無であると言えます。

 一方、オーナー社長が、社長名で特許権や商標権を取得している場合があります。

 よくあるケースは、創業者が一人で事業を始めた会社の黎明期において、創業者ご自身のお名前で商標権を取得したというケースです。特許は出願から20年で権利が切れるのに対して、商標は10年毎の更新を続ければ権利を維持することができます。このため、創業から数十年も経って会社の規模が大きくなったにも拘らず、商標権の権利者は創業者の個人名義のままというケースは多々あります。

 このように商標権の権利者が創業者の個人名義のままとなっているケースでは、事業承継時に種々の手続きが必要となります

ケース1:権利者である個人がご存命であり、会社や後継者に譲渡する場合
必要書類:移転登録申請書と譲渡証書

ケース2:権利者である個人がご存命であり、会社や後継者に贈与する場合
必要書類:移転登録申請書と贈与証書

ケース3:権利者である個人が亡くなられた場合
この場合は、知的財産権は、お金や不動産などと同様に財産分与の対象となります。
必要書類:移転登録申請書:被相続人の死亡の事実を証明する書面、相続人であることを証明する書面(例えば戸籍謄本(改製原戸籍謄本)、必要により遺産分割協議書等

 ケース3の場合において、相続人の間で遺産相続で争いが生じている場合には、なかなか書類が集まらないことがありました(遺産分割協議書に判子を押してもらえないなど)。

 個人名義で事業に関連する知的財産権を所有しておられる方は、知的財産権も事業承継の対象であることを理解して、できれば生前にケース1、2のような手続きを取るべきであると考えます。

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