2013年4月15日月曜日

冒認&共同発明違反が争われた事例

皆さんは、研究開発に行き詰ったときに、社外の第三者にアドバイスを求めたことはありませんか?

今回取り上げる事案(平成24年(行ケ)10280号 審決取消請求事件)での登場人物は、会社甲の従業員Aさんと、会社乙の従業員Bさんと、会社丙の従業員Cさんです。
会社甲と会社乙との間で、会社乙の特許出願が「冒認&共同出願違反」に当るか否かで争われました。

以下が、事案の簡単な説明です。



Cさんが、Aさんに質問メール(メール①)を送りました。
Aさんは、メール①の内容を踏まえて、Bさんに質問メール(メール②)を送りました。
Bさんは、メール②に対する回答をAさんに返信しました(メール③)。
Aさんは、メール③の内容を踏まえた回答メール(メール④)をCさんに送りました。

Bさんは発明を完成し、特許を受ける権利を会社乙に譲りました。
会社乙は、Bさんを発明者として特許出願を行い、特許権を得ました。

特許権に係る特許発明には、A-C間、およびA-B間でやり取りされたメール①、②、③の内容が含まれていました。

会社甲は、会社乙の特許発明はAさんが考えた技術的な内容を含んでいるものであるにも拘らず、当該発明はAさんに無断で出願されたものであるとして、冒認出願(特許を受ける権利を有しないものによる出願)&共同出願違反であるとして無効審判を請求しました。無効審判では会社甲の請求は認められなかったため、会社甲は知財高裁に出訴しました。

無効審判&知財高裁での大きな争点は、以下の二点です。

(争点1)会社甲のAさんは、特許発明の発明者の一人になるのか?

(争点2)共同出願であることの立証責任は、共同出願違反と主張した方にあるのか、それとも共同出願には該当しないと主張した方にあるのか?

裁判所は、争点1について、特許発明の内容には、電子メール①、②、③には記載されていない内容が含まれているから、Aさんは発明者&共同発明者では無いと判断しました。

また、争点2については、会社乙が先に出願したという事実より、Bが発明者であること又は会社乙がBから特許を受ける権利を承継した者であることは,他に反証がない限り,推認されるものというべきであると判断しました。


共同開発契約書を交わすことの重要性

以上のように、一旦、他社による特許出願がなされた後に「私の会社もその発明に関わった。」と主張することは、難しいというのが実情です。

このため、研究開発に先立って、会社の間で「共同開発契約書」といった契約を結び、完成された技術や特許の取扱いについて定めておくことが大変重要となります。

以上

0 件のコメント:

コメントを投稿