2013年5月23日木曜日

商標権侵害で『ステーキけん』が『ステーキけんしろう』に対する法的措置を表明


スポニチAnnex、およびロケットニュース24によると、先日、ファミリーレストラン『ステーキハンバーグ&サラダバー けん』が、『ステーキハンバーグ&サラダバー けんしろう』に対して、商標の使用停止を求めて法的措置の準備をしていることを表明したそうです。


記事によると、『けんしろう』は、かつて、「けん野々市店」として、『けん』の運営会社である株式会社エムグラントフードサービスとフランチャイズ(FC)契約していた店舗だそうです。

今年3月のFC契約解除後は『ステーキハンバーグ&サラダバー けんしろう』に店舗名を変更したそうです。


そして、この変更後の『けんしろう』の看板等が、株式会社エムグラントフードサービスが保有する登録商標(登録第第5160679号)と類似しているとして、『けん』が商標権侵害で訴えるということらしいです。



コチラからお借りしました。


記事では、商標権侵害となっていますが、実際の訴訟では不正競争防止法違反(2条1項2号(周知表示誤認惹起行為))を理由とする差止め請求権の行使も考えられます。



実際の裁判ではどうなるかわかりませんが、自分なりの結論を出してみました(あくまで私の一意見にすぎません)。

ます、『けん』の登録商標と、『けんしろう』の商標を比べてみると、

両商標は、

■ 円形の中央部分と、これを囲むように配された円リング状の外周部とからなる二重円形状の全体形状を備える点、

■ 全体形状に占める中央部分と外周部の径寸法の割合、

■ 外周部に配された「Hanburg ・・・Steak」の文字の書体、位置、大きさ、

■ 「けん」の文字の書体

などの点で一致します。


一方、両商標は、

■ 登録商標『けん』では、中央部分に「けん」の文字が配されているのに対して、『けんしろう』では「けんしろう」の文字が配されている点(相違点1)、

■ 登録商標『けん』では、中央下方に「since 2006」の文字が配されているのに対して、『けんしろう』では、そのような文字が無い点(相違点2)、

■ 登録商標『けん』では、「ステーキハンバーグ&サラダバー」の文字が中央右寄りに配されているのに対して、『けんしろう』では左下側に配されている点(相違点3)、

などで相違します。


上記の相違点1~3について検討すると、

登録商標『けん』の「since 2006」の文字は、中央の「けん」or「けんしろう」の文字に比べて極めて小さく目立たないこと、「ステーキハンバーグ&サラダバー」の文字も、中央の「けん」or「けんしろう」の文字に比べて小さく目立たないことなどに鑑みれば、相違点2、3が両商標の識別性に与える影響は小さいものと考えられます。


残るのは相違点1ですが、商標『けんしろう』においては、「けんしろう」の「けん」の文字を「しろう」の文字よりも大きく(文字の大きさで2倍以上)示していることに鑑みれば、商標「けんしろう」においても「けん」が「しろう」よりも目立つものとなっていることは論を俟ちません。


してみると、一般需要者は商標「けんしろう」を見たとき、登録商標『けん』の商標権者と何らかの関係(資本関係やFC関係)があると誤解する可能性があります。


また、「けん」と「けんしろう」の違いこそあれ、二重円形状といった全体形状から、外周部に記載されている文字の書体、位置、大きさ、「けん」の書体、「ステーキハンバーグ&サラダバー」の有無といった細部に至るまで一致していることに鑑みれば、商標「けんしろう」は登録商標「けん」に化体した信用にフリーライドする意図や、ダイリュージョンさせる意図をもって選択されたものであると判断される可能性もあります。


はじめ、「けん」と「けんしろう」と聞いたとき、「そんなもん商標権侵害で訴えても無理でしょ」と思いましたが、ここまで一致点が多いと、外観類似であるとして、看板の使用差止めが認められる可能性は十分にありそうです。


尤も、上記の見解は、私個人の考えであり、実際の裁判では真逆の結論が出るかもしれません。


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以上
(弁理士 森本聡)


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したがいまして、法律的には正確とは言えない表現を用いている場合もあります。

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